トラベラーズノートの中でもキャメルは個体差が大きい事で知られています。
写真のトラベラーズノートは全てキャメルですが、実は全て新品の開封したばかりのものです。
一番薄いものと濃いものの差が下の写真。
これは別の製品と言っても違和感ないほど個体差がありますね。見た目の色の差だけでなく、触った感触も硬かったり柔らかかったりとだいぶ異なってきます。
トラベラーズノートの購入時はパッケージに包まれた中身の見えないものを購入する形になるため、自分好みのキャメルが入っているかどうかは運次第です。これが仕様だと思いますので、これくらいの個体差があると認識しておくとビックリしないで済むのではと思います。
個体差が出る理由(考察)
さて、トラベラーズノートの特にキャメルにおいてこれだけの個体差がでる理由を私なりに考えてみました。
基本的に製造工程は変わらないはずですので、元々の牛皮の差ということが大きな理由になるのかと感じています。
具体的には大きく二つありまして、一つ目は革(皮)を取る場所。もう一つは牛の年齢と性別です。
1. 革(皮)を取る場所・部位
まず一つ目、革(皮)を取る場所・部位について。牛革とひとくくりに言っても、牛のどの部分の皮なのかによって性質が異なってきます。
例えば、牛の肩周りの革はショルダーと言われており、お尻あたりから取れた革はバットと呼びます。部位によって皮の硬さや性質が異なってきますので、製品の用途によってどの部分の革を使用するかを決めていきます。
例えば、私が保有しているシステム手帳でオーセンというものがありますが、このオーセンはショルダー部分の革で作られているため、しっかりとした硬さのあるものになります。
また、牛のお尻の革で作られた革製品というのはあまり聞きませんが、馬のお尻から取れた革でコードバンという高級革がありますよね。
この辺りの皮で作られる革製品は非常に高価で、下の写真がショルダー部分の革で作られたオーセンというシステム手帳。
トラベラーズノートと同じ牛革の製品でブランドも同じデザインフィルです。(トラベラーズカンパニーとノックスブレインの差はありますが)
そしてお値段は54,000円とトラベラーズノートの10倍以上もします。
さて、トラベラーズノートの革は牛のどの部位から取れた皮から作られているのか明記されておりません。先日ファクトリーの店員さんに聞きましたが、店員さんも分からないとのことでした。
部位の中でお腹周りの皮・背中周りの皮は、お腹周りをベリー、背中側をベンズと呼ばれますがお腹周りの皮は柔らかくなりますので、ベンズと呼ばれる背中側の革を使われており、取れる面積が広い分その位置によって個体差が生まれるのかなと考えています。
一つ参考になるかもしれませんが、下の写真は私が保有するトラベラーズノートキャメルの一つ。
革の表面に虎模様の線が入っているのが分かりますでしょうか。
この模様は牛の脇のあたりとかシワの出来やすい位置から取れたものかなと考えられます。
2. 牛の年齢
続いて牛の年齢。
牛革の種類の呼び方や製品説明などで、カーフとかキップ、ブルと言った言葉を目にしたことはありますでしょうか。牛革は、性別や年齢によって「ハラコ」「カーフ」「キャップ」「カルビン」「カウ」「ステア」「ブル」の7種類に分類されます。
それぞれの具体的な特徴は、以下の通りです。
ハラコ
胎児~生後間もないほどの子牛の革です。短い毛のついた素材で独自の風合いがあります。表皮と一体化しているような美しい毛並みが特徴です。出産前に死亡した牝牛のお腹にいた腹子や死産した子牛から採られるため、ほとんど市場に出回ることはありません。
カーフ
生後6ヶ月以内の子牛から取れる皮の事をいいます。特徴としてはキメ細かく柔らかく薄い素材になります。牛革の中でももっとも上質な素材とされています。イメージとしては、赤ちゃんの皮膚を想像してみると伝わるかと思います。赤ちゃんの皮膚ってとても柔らかいですし傷もありませんよね。
キップ
強く、厚みのある革
雄雌関係なく生後6ヶ月~2年程度の牛から取れる革。カーフよりも厚みがあり強い性質を持ちます。
カーフと比べてきめは粗くなりますが、まだ子供なので怪我などの傷が少ないもの特徴です。
カルビン
生後2年以上の未産の雌の成牛の革で、キップとステアの中間・カウよりもランクは上。成牛革では最も上質とされています。
カウ
生後2年以上の生産経験のある雌牛から取れる革のことをカウと呼びます。革は厚く柔らかで丈夫で耐久性を持つ性質を持つため、柔らか目なバッグなどに使用されます。
ステア
生後3~6ヶ月の間に去勢した雄牛の革で生後2年以上たったものを呼びます。厚くて強い革になりますので硬いバッグなどに使用される革です。
ブル
ブルハイドは生後2年を経過した雄牛の革で、去勢されない牛の皮を指します。
牛革の中でももっとも固く丈夫ですが、汎用性はありません。主に靴底などに用いられます。
トラベラーズノートで使用されている革がどの部類の革にあたるかの明記はされていません。
こちらも推測になりますが、様々な革が混在されており個体差が生じているのではと考えています。(カーフやキャップは無いと想定しています)
今回の記事は公開されている情報ではなく私の考察が中心になりますが、トラベラーズノート(特にキャメル)を購入すると、このように様々な個体差の製品がパッケージから出てきます。
なんだこの色は!?と驚いてしまうこともありますが、どんな牛のどこの部分の革から取れたトラベラーズノートなのかな?と考えて使うのも、また別の愛着が持てて楽しいですよ。
すでにお持ちの方も、ぜひ自分のトラベラーズノートを眺めてイメージしてもらえればと思います。
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