こんにちは、よしぞーです。
2017年10月よりトラベラーズノート(キャメル)のエイジング検証を行なっています。
このエイジング検証は5つのトラベラーズノートキャメルを準備して、それぞれを別のメンテナンス方法で育てていくという検証ですが、検証開始から半年が経過しましたので状況をお伝え致します。
トラベラーズノートキャメルのエイジング
キャメルの個体差
まず、最初にお伝えしておきたいのが特にキャメルのトラベラーズノートは開封初期から少なからずの色や質感に固体差があるという事。それが『トラベラーズノート』ならではの革本来の味わいを生み、一つ一つが異なる経年変化を楽しめるという魅力に繋がってきますが、エイジングの検証を行うにあたっても初期状態の個体差がそのまま影響してしまうケースも有ります。
下の写真は未使用のキャメルですが開封時でこれだけの個体差が出ます。
これだけの個体差があると比較検証はできません。
下記の記事にて個体差についての考察を書いていますので参考にしてください。
可能であれば同じ牛の皮で同じ時期に同じ工程で作られたキャメルのトラベラーズノートを並べて検証を行えたらベストなのですが、個人の検証でそれは無理。今回用意したキャメルは同じ日に同じ文具店で購入し(これによってロットが同じになる可能性が高い)、同じくらいの風合いのキャメルを使用することが精一杯だったことご理解ください。それでも多少なりの個体差は有りました。
メンテナンス方法
続いてメンテナンスの方法。5つのトラベラーズノートを以下のメンテナンスで運用をしていきます。
レギュラーサイズ
- 1つ目、写真の左側。このレギュラーには定期的なブラッシングを行うとともに2ヶ月に1度の頻度でラナパーを塗ります。
- 2つ目、真ん中の黒ゴム。このレギュラーはブラッシングのみでメンテナンスを行います。ラナパーなどでのオイルメンテは一切行いません。
- 3つ目、写真右側のオレンジゴム。定期的に日光浴を行いつつ乾燥状態になったタイミングでラナパーを入れる(+ブラッシング)という運用を行なっています。(日光浴を行うと通常使用よりも乾燥が早く進んでしまうためラナパーを塗る頻度は月に1回程度となります)
パスポートサイズ
- 写真左側、緑ゴムのパスポートは、ノーメンテでの運用。
- 写真右側の赤ゴムのパスポートは、月に1度程度ワイヤーブラシでメンテナンスを行いました。
写真右下のブラシ(馬毛ブラシ)は、革製品のメンテナンスでは必須道具ですので、1つ持っておくと良いです。汚れ落としはもちろんクリームを塗った後の仕上げでも使用しますし、ちょっとした引っ掻き傷であればブラッシングのみで取れます。
これらのメンテナンスで運用し、定期的にエイジング状況をチェックしていきます。
こちらがセットアップ時(使用開始のタイミング)の写真となり、レギュラー左右のものはラナパーを塗り、パスポートの右側のものはワイヤーブラシでブラッシングを行ないました。
使用1ヶ月のエイジング状況
使用開始1ヶ月のエイジング状況。
まだ大きな変化は感じられませんが、全体的に少し色が濃くなったのが伝わると思います。
使用3ヶ月のエイジング状況
続いて使用3ヶ月。
最初と比べてだいぶ変化が見られるのが、ブラッシングでメンテナンスを行なっている中央のレギュラーサイズ。トラ模様がしっかりと浮き出てきました。
また、ノーメンテで運用しているパスポートサイズ(左手前)は汚れが目立ち始めていますね。
日光浴・ラナパーで運用しているトラベラーズノートも色がだいぶ濃くなってきています。
こちらの写真が分かりやすいですが、革の質感にも変化が有りました。
日光浴を行なっているもの(一番上のレギュラーサイズ)の表面は少し硬めになり艶が出始めました。一番下がブラッシングメンテのものですが、艶は出ずにマット感のある表情になりエイジングが進んでいます。ラナパー+ブラッシングでメンテを行なっているもの(レギュラー中央)は、マット感のある状態で色が濃くなりました。
パスポートの方は色の変化はあまりなく、ノーメンテのものはそのまま汚れていっている状態(一番上)、ワイヤーブラシでメンテしたパスポートは初期状態の色そのままで表面が毛羽立っています。
使用5ヶ月のエイジング状況
使用5ヶ月の状態。3ヶ月後の状態からさらに色と表面の変化が進んでいます。
なおこのタイミングで、「ブラッシングのみ」のものと「日光浴を行なっているもの」を残して他の3つは検証を終了しました。(汚れ落としなどの検証を行うため)
検証を終了した3つの状態は、以下のようになります。
ラナパー+ブラッシングメンテ
マット感のある状態のまま色が濃くなった。写真では傷がついているが、この傷はブラッシングで簡単に取れる。
ワイヤーブラシでメンテ
汚れても傷ついてもワイヤーブラシでこすればほぼ元の状態に戻る。元の状態に戻ってしまうためエイジングは期待できないが、このメンテナンス方法はありだと感じる。
ノーメンテ
正直なところただ汚れただけ。よくある汚い革の状態になり、これを味というのは悩ましい。埃が表面について革の中のオイルが埃に吸収されてしまい若干の乾燥状態にも感じる。
使用半年のエイジング状況
こちらが検証開始から約半年(厳密にはもうすぐ7ヶ月)が経過した現在の状態です。
下の写真が光源を変えて撮影したもの。こちらが分かりやすいと思います。
上のトラベラーズノートがブラッシングのみでメンテナンスを行なっているもの。下のトラベラーズノートが日光浴を行なっているものとなります。
先にも記載しましたが、ブラッシングのみのものはマットな表情で変化、日光浴+ラナパーメンテのものは光沢がある表情に変化が進んでいきそれぞれが良い風合いに育っています。
尚、ブラッシングメンテのものはこれまで一切のオイルは入れておりませんが、触った感じとしてはしっとりとしたオイリーな状態が保たれており、これはブラッシングによって革の中に含まれるオイルが表面に浮き出ているからだと考えています。
また、ブラッシングでメンテを行なっている方は、引っ掻き傷はほとんど付かなくなりました。これは日々ブラッシングを行うことにより表面の革が若干毛羽立って傷が付きづらい状態になったからだと感じております。傷が着いてもブラッシングを行うと綺麗に取れます。逆に日光浴を行なっている方は、傷がつくとブラッシングでは取れづらくなりました。
以上、トラベラーズノートキャメルのエイジングテスト及び状況の報告となります。また一定期間を置いた後で改めて報告したいと思います。